このダチョウの脚の革は、爬虫類の革のような独特の模様をもっています。 ダチョウ一羽から2枚しかとる ことのできないこの革は、希少価値が高く原革の価格も、牛や鹿とは比べものにならないぐらい、かなり高価 です。 しかも脚の革という性質上、傷のない革が少ないのです。
そんなオーストレッグでパター用グリップをつくる工程を紹介します。 グリップの下地はコルクです。 厚さ
2ミリのコルクシートをシャフトに巻きつけ、それをカッター・ヤスリで削って整形します。 写真にある年輪
のような模様から、コルクシートの積層されたものを整形しているのがわかると思います。
原革は、このようなものです。 特徴的な模様がおわかりでしょう。 革自体に伸縮性は小さく、硬めの革です。
手に吸い付く感じはありませんが、とくに滑る感じもしません。
型紙を作るために、グリップの下地を採寸します。 採寸は形状の変化があるところで数箇所行い、
それらを直線で結んだものが型紙になるのですが、場所によって採寸した数値を微妙に調整します。 細い部分は
他の部分より長めにするとか、伸びやすい革なら採寸した値そのままでよいなど、その調整具合は今までの経験から
導き出しています。
革を裁断する前に、どの部分を使えばきれいに見えるかを検討します。 エンドキャップとのつながりや、全体の
模様の見え方など、仕上がりをイメージして行う大事な作業です。
型紙を革の裏に置きマーキングします。
切り出した後に、グリップエンド側・ローエンド側は革が少し厚すぎるので、すいて薄くします。
糸を通す穴は、専用テンプレートで等間隔にしるしをつけていきます。
丸錐で必要な太さまで太くします。
縫い糸はコットンコードです。 強く、けばだちもないという理由で選んだものです。 黒のオーストレッグに合う
色を数種類選び検討し、その中から最終的に黒を選びました。
ゴムのりでコルク下地に接着します。 合わせ目の糸を縫う部分の1センチぐらいは、ゴムのりをつけません。
ベースボールステッチで縫い締めていきます。 縫い終わりは、ほどけないように締めて、接着剤で固めます。
エンドキャップとローエンドキャップを取り付けて完成です。 特徴的な模様は、このグリップのために存在するかの
ようなマッチングではないでしょうか。
このグリップはパンチが入り過ぎないようにと、太めにつくりました。 L字のパターは、ストロークで流し込む
ような打ち方だと、どうしても当たり負けしてショートしてしまいがちです。 ほんの少しだけで良いのですが、
はっきりとしたインパクトが必要になります。 そんなときに手首を使いすぎると、大きなパンチが入ってしまいます
ので、「太めのグリップで手首を固める」のを目的としています。
ヘッドはステンレスヘッドのリフィニッシュで紹介した、スポルディングのT.P.M.16
です。 T.P.Millsデザインの、いわゆる8802タイプのL字パターです。 重めのパターにしたかったので、シャフトに
日本シャフトの「N.S.PRO PUTTER」をチョイスしました。 このシャフトはカット前重量が149グラムと重めになって
います。 表面はマット仕上げとなっており、ミラーフィニッシュしたヘッドとベストマッチだと思っています。
製作前の思惑通りに、狙い打つ感じがよく出せるパターに仕上がりました。
Spalding T.P.M.16 with N.S.PRO Putter Ostleg grip